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【高校】[理科]アムジェン・バイオテック・エクスペリエンス(遺伝子組換え実験)を行いました
7月3日と4日に、高3の生物履修生徒を対象に「アムジェン・バイオテック・エクスペリエンス(遺伝子組換え実験)」を行いました。
アムジェン・バイオテック・エクスペリエンスは、世界的なバイオテクノロジー企業であるアムジェン社の財団が資金を提供し、中高生を対象に展開している革新的な国際科学教育プログラムです。日本では、アムジェン財団と東京大学が連携して運営を行っており、学校の授業に最先端のバイオテクノロジー実験を導入するための包括的なサポートを無料で提供してくださっています。
今回は、実際の大学や製薬企業の研究室で使われているのと同じ試薬・機材を用いて、生きた大腸菌のプラスミド(細菌がもつ環状DNA)を実際に組み換え、その成果を目に見える形(赤色蛍光タンパク質)まで作り出すという、本格的な遺伝子工学の実習を行いました。
―実験の流れ―
① マイクロピペットの操作練習
遺伝子工学の実験では、μL(マイクロリットル、100万分の1リットル)単位のごく微量の試薬を正確に扱う必要があります。まず専用の器具「マイクロピペット」の使い方を練習し、精密な操作の基礎を身につけました。

② 制限酵素によるプラスミドの切断
生徒たちは pKAN-R と pARA という2種類のプラスミドを用意しました。pKAN-R には赤色蛍光タンパク質(RFP)の遺伝子(rfp)とカナマイシン耐性遺伝子が、pARA にはアンピシリン耐性遺伝子と、遺伝子の転写を調節する配列が含まれています。この2つのプラスミドを、特定の塩基配列を認識して切断する酵素である制限酵素で処理し、必要なDNA断片を切り出しました。
③ DNAリガーゼによるライゲーション(結合)
切り出した断片を、DNA同士をつなぎ合わせる酵素であるDNAリガーゼを使って結合し、rfp遺伝子・アンピシリン耐性遺伝子・プロモーター・複製開始点をすべて備えた新しい組換えプラスミド「pARA-R」を作製しました。


④ ゲル電気泳動による確認
DNA断片は電荷を帯びているため、電気泳動によってサイズごとに分離できます。既知のサイズのDNA断片と比較しながら、制限酵素処理とライゲーションが狙い通りに進んだかを検証しました。



⑤ 形質転換とコロニーの選抜
完成したpARA-Rプラスミドを、コンピテントセル(プラスミドを取り込みやすく処理した大腸菌)に導入する形質転換を行いました。塩化カルシウム処理と42℃・1分間のヒートショックにより、DNAが細胞内に入りやすい状態を作ります。その後、アンピシリンを含む培地で培養することで、目的のプラスミドを取り込んだ大腸菌だけを選抜しました。さらにアラビノースを加えた培地で培養したコロニーは、狙い通り赤色蛍光タンパク質を発現し、赤く色づきました。


⑥ カラムクロマトグラフィーによるタンパク質精製
最後に、選抜した大腸菌を培養・溶菌(細胞を破壊)し、細胞抽出液からRFPだけを分離しました。RFPは中性条件で負に帯電しているという性質を利用し、正電荷を帯びた樹脂ビーズを充填したカラムにRFPを吸着させ、塩濃度の異なる溶液で段階的に溶出させることで精製しました。



生徒たちは、教科書の中のイメージしにくかった「生命科学」が、目の前でリアルに動き出す体験をすることができ、非常に濃い2日間となりました。「知っている」と「やったことがある」の間には、大きな溝があります。生徒たちには、この体験を通して教科書の一行の裏にある膨大な手順と工夫に気づき、物事を安易にわかったつもりにならない姿勢を身につけてほしいと思います。また、その手応えを、これから進む道の中で専門的に学びを深めていくための、確かな土台の一つにしてくれればと願っています。
そして、2日間にわたって実習のサポートをしてくださった東京大学の佐藤先生、本当にありがとうございました。