野上日記

2014年9月

彼岸花

こんにちは、Y館長です。
 
明日は彼岸明けで、暑さもここまで・・・といけばいいのですが、台風の影響でしょうか、今朝から蒸しています。
 
それでも着実に季節は移ろい、学院の芝地の真ん中に彼岸花・・・
 
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数年前まではもっと一面に咲き誇っていたと覚えているのですが、今年はいささか控えめ・・・年々歳々、営々と花をつけるわけでもないのでしょうか・・・
 
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ところで、いも虫事件以来、記念館の庭もすっかり秋模様ですが、ここにも彼岸花・・・
 
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ちょっと珍しい(ん? Yが知らんだけ?)黄色の彼岸花ですが、去年は咲かなくて、今年気がつけば見事な花を咲かせてくれました。これもA職員の日頃の手入れの賜物・・・
 
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黄色い彼岸花は、欧米で作られた園芸用の品種らしいのですが、そのように聞けば、「彼岸花」という和名より「リコリス」という洋名が似合うと思えてくるからオモシロイ・・・・
 
それにしても、赤も黄色も、ちゃんとお彼岸に花をつけるところが素晴らしい・・・
 
Yの田舎の家からほど近い、小高い墓地の斜面いっぱいに咲いた彼岸花の群生を、その一面に拡がった朱の色を、いまでも鮮やかに瞼の裏に蘇らせることができます。
 
 
   GONSHAN(ゴンシャン).. GONSHAN(ゴンシャン)..何処へゆく
   赤い御墓の曼珠沙華(ヒガンバナ)、曼珠沙華(ヒガンバナ)、
   けふも手折りに来たわいな。
                         白秋 「思ひ出」
 
 
なにかそんな野に咲く花の群生を目にする機会がめっきり少なくなりました、たとえば春のレンゲ草、夏のひなげし、秋のコスモス等々・・・

   


舞妓と国境と・・・

こんにちは、Y館長です。
 
先日、いまや無精者の一線を越えて、一時は流行語となった「カウチポテト族」と云ってもいいような生活スタイルのYには珍しく、ミナミの映画館で封切り間もない映画を観ました。
 
「舞妓はレディ」
 
無題
※公式サイトより
 
周防正行がメガホンをとった、「マイ・フェア・レディもの」の和製ミュージカル。
 
オーディションで主役に抜擢された上白石萌音、前評判通りの好演で、というより彼女という個性なくしては成り立たないのではとさえ思えるほど、ハマりにハマったキャスティングの妙・・・・
 
特にミュージカルといったスタイルに拘る必要のない歌あり踊りありの「娯楽映画」の一級品、満足して映画館を後にしました。
 
 
さて、今日は遠い他国のことではありますがスコットランドの独立を巡っての住民投票の開票日・・・
 
PCの画面上には、BBCの速報ライブの画像が流れていますが、今現在(11時12分)32の自治体のうち4自治体の開票を終えていて、独立賛成票が42%ととか・・・・
 
ここ数日来、マスメディアではその行方と結果が及ぼすであろう様々な影響を喧々と伝えていますが、さて如何相成りますか・・・
 
ニュースを伝えるBBCキャスターの深刻な表情を見ながら、ミーハーというより野次馬気分のYには、昔読んだ井上ひさしの大部の小説を思い出します。
 
「吉里吉里人」がそれですが、東北の小さな村が突如、日本から独立をするという荒唐無稽なシチュエーションを独自の視点で描いた長編小説。雑誌連載後に単行本として上梓された際は、小さな活字で二段組、厚さは優に5センチは超えるという体裁にびっくりした記憶があります。
 
とまれ、新たな国境の出来る出来ないという騒動の向こうに窺う「国境のない世界」とは、どのようなものでしょうか・・・
 
 
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「フランシスコの平和の祈り」の由来となったアッシジの聖フランシスコ・・・あと二ヶ月もすれば、今年も高校二年生がアッシジへの研修旅行へと旅立ちます。
 
いま進めているネガフィルムの整理ですが、藤飯治平先生の訪れたアッシジ・・・
 
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アッシジとそこに暮らす人々への眼差し・・・Yは藤飯先生の写真を眺めながら、ふとユトリロ、アッジェを想う・・・
 

 


秋の蟲

こんにちは、Y館長です。
 
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これは、以前のブログに掲載した記念館玄関脇の様子です。
 
ちょっとお洒落なガーデンチェアと白壁を伝うグリーンの対比が素敵でしょ?
 
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あれれ・・・!
こちらは今週始めの同じ場所・・・・
 
あの、アオアオとした葉っぱが・・・・蔓のみが儚げに壁にしがみついています。
 
その数日前・・・・
 
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いも虫! こっちにも、あっちにも、あんなとこにも、こんなとこにも、そこにも、あそこにも・・・・
 
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Yが暮らす大阪の中之島界隈では、例えば裁判所敷地の植え込みの根本や中之島公園の芝生のなかでコオロギやスズムシが秋の音(ね)を奏で始めていますが、ここ記念館では、いも虫の大量生育中・・・・
 
それに気がつく直接のきっかけは
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ガーデンチェアの足元に散らばる大量の黒い点々、いも虫の糞でありました!
 
で、見上げた先に数十匹の「むし」たち・・・最初は?ということで、間近に目を近づけてひぇ~と正直、怖気づく・・・
 
けど、しばらくじっと見ていると、何やら可愛らしく見えてくるからひとの感覚というものはオソロシイ・・・?いや、オモシロイ・・・
 
平安時代後期の物語集「堤中納言物語」のなかでも最もポピュラーなものは「虫めづる姫君」の物語であろうと思いますが、その冒頭で姫が語る
 
「人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ 人は、まことあり、本地たづねたるこそ、心ばへをかしけれ」や
 
「烏毛虫の、心深きさましたるこそ心にくけれ」
 
が実感として首肯できるのです。(ちなみに、この姫、風の谷のナウシカに描かれたナウシカのモデルであるとか)
 
 
それにしても、このいも虫たちの食欲の旺盛さは想像を絶します。
 
あれだけ盛っていた大きな葉っぱが三日ばかりで、丸坊主。
 
丸坊主の蔓だけの惨めな姿に成り果てた後、さて彼ら(彼女ら)の、その後の食糧事情は如何相成るものかと人ごとながら(?)多きに心配をしていたのですが、その翌朝・・・一匹残らず何処かへ煙のごとく消え去っておりました・・・
 
どこかで華麗に変身を遂げ優雅な舞で魅せる蝶の群れを想像しつつ、Yもひとときの夢想に遊ばせてもらいました・・・
 

 
ところで、昨日は九月九日、旧暦になぞらえれば重陽の節句、そして暮れ果てた天空では煌々としたスーパームーン・・・
 
一昨夜は中秋(旧暦八月十五日)・・・
 
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Yの住まいから見上げる今年の名月・・・
 
名月や浪速に住んで橋多し  漱石
 
 
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残された風景・・・旅の記憶

こんにちは、Y館長です。
 
 
月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり
 
 
言わずと知れた「奥の細道」の冒頭ですが、時の流れが終わることのない旅であれば、その時とともに歩むひとの人生もまた、死に果てるまで旅の途中であるということでしょうか・・・
 
などと書き出して、ふと薬師丸ひろ子を思い出しました・・・・!
 
たんに「途中」という言葉が引き金になっただけの戯れですが、それにしても以前、テレビジョンで観た薬師丸ひろ子の35周年記念コンサート・・・
 
よかったですねぇ・・・終盤で歌った「夢の途中(セーラー服と機関銃)」・・・いえ、この曲だけというのではなくこれまでの薬師丸の「夢の途中」つまりは「旅の途中」というものが如何に深く輝いているものか・・・
 
Yの如き爺世代は、まさにそれらの歌を時代の背景として生きてきたのですから、弛みやすくなった涙腺も溢れようというもので・・・時代といえばアンコールで歌った「時代」も本家みゆきとはまったく別の趣で魅せてくれた・・・
 
あれ? 何を書き始めようとしたのだったか・・・そうそう、この間から藤飯治平先生のスケッチブックの整理を進めているのですが、先日から平行して残された膨大な写真フィルムにも手を付けました。
 
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取り敢えずは、ネガフィルムをPC上でデジタル化することから始めているのですが、まさに藤飯治平が残した「時の記憶」と言えるそれらの写真の数々・・・
 
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まだまだほんの取っ掛かりに過ぎませんが、それでもフィルムに触れていて、一コマたりと冗長な無意味なコマの無いことに驚かされています。
 
いまやカメラのデジタル化は99.9%を超えているでしょうか、カメラやスマホのメモリー上でデータとして使い捨てられる安直な「時の記憶」を思う時、自戒を込めていま考えるべき何かがあるようにも思えます。
 
そんなわけで(どんなわけ?)、おそらく73年と思われるギリシャを中心とした取材旅行の際に見たであろう「藤飯治平の目」をいっしょに感じてみてください・・・
 
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これからも処理が終わったものから順次ご紹介させていただこうと思っています。
 
学院ではすべての校園で二学期がスタートしました。記念館でも秋の展示替えを計画をしています。
すべてのことに実り多い秋であればいいですね。
 
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