野上日記

2014年8月

夏の終わりの日曜日

こんにちは、Y館長です。
 
先の日曜日、藤飯治平先生が長く絵の指導をされていたHさんとおっしゃるご婦人をお訪ねして、所蔵されている先生の絵を拝見させていただく機会がありました。
 
Hさんのお宅は、この記念館とは目と鼻の先と云ってもいい野上二丁目です。
 
現在は、ご主人を先に見送られて、子供さんも隔地にそれぞれお住まいとのことで、この「坂道の野上」では買い物を始めとした生活にご不自由があるため、一年余り前から同じ宝塚市内のケアサービス付き住宅にお住いです。
 
Hさんとは以前から懇意にされているギャラリープチフォルムのA社長とご一緒にお訪ねしたのですが、「これは藤飯先生が取り持つてくれたご縁ね」と、大層喜んでくださり、一緒に野上のお宅まで同行してくださいました。
 
伺ったお宅は、長い主(あるじ)の不在を微塵も感じさせない温かい雰囲気が満ちていて、よく経験する人が住まなくなった家の寂寞感、荒涼感などまったく感じられません。
 
同行していただく車中で問わず語りにお聞きしたのですが、この野上に住みたくて幼子をおぶいつつ、当時の生活が許す条件で何とか手に入れられる物件をと、地域の周旋屋さんを尋ね回ったのだとか・・・
 
そんな想いからスタートしたH家の野上の歴史・・・・
 
しばらく主(あるじ)が居ないとて、揺らぐべくもない、ということでしょうか。
 
そのお宅の壁に飾られた藤飯治平先生の作品、二十号ほどのゴシック様の教会と思しき建物を描いた油絵をはじめ、水彩の小品が数点・・・
 
藤飯作品と並べて、Hさんが描かれた油彩の風景画や亡くなったご主人の肖像スケッチにご自身の自画像、或いはご主人が描かれた水墨画なども壁面を飾っています。
 
これらの作品が、主(あるじ)に代わってこの家を守ってくれている、そんな思いをそれらの絵を拝見しつつ感じていました。
 
Hさんの自画像が、いつとはなしに、柳田國男が遠野物語に著した「座敷ワラシ」に見えてきたりして・・・
 
そのお宅の玄関に再び鍵を掛けて帰りの車に乗り際、「ほんとはここに住んでたいのよね」と後ろも見ずにつぶやかれた言葉が印象的でした。
 
その帰りの車の中でお話されたつぎの言葉は、もっと印象的でした。
 
「わたし、絵を描きたくなったわ・・・このまま独りでぼやぼやしていたら駄目ね・・・この機会をありがとう・・・身震いするほど嬉しいわ・・・」
 
 
Hさんは、三十年近く藤飯治平先生にアトリエで絵を習っておられたとのこと・・・まさにアートの力を感じたひとことでした・・・
 
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空は秋の雲、風は秋の匂い

こんにちは、Y館長です。
 
先週は夏季休館とさせていただきましたが、今週からは平常通り運営しております。
 
あちらこちらで「これまでに経験したことがない・・・」というフレーズが繰り返され、おおきな災害、被害が報じられていますが、渦中の皆さんにはこころからお見舞いを申し上げます。
 
今日も猛暑日があちらこちらでと、残暑が続いていますが、見上げる空にたなびく雲には秋の気配が濃く、吹き渡る風にもどことなく秋の匂い・・・
 
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夏季休館とさせていただく直前に、記念館に宛てて一通の書状が届きました。
 
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差出人は東京にお住まいのY・Mさんとおっしゃるご婦人・・・
 
以前ご紹介した串本のY・Sさんの妹さんです。
 
Y・Sさんが記念館を訪ねてくださったその後、Y・Mさんも丹波で開催された娘さんの球技大会の付き添いで関西方面に来られており、スケジュールの合間を縫って訪ねてくださいました。
 
生憎、Yは当日、記念館を休ませて頂いておりお目にかかることはできなかったのですが、案内させていただいたA職員から大変感激してくださったと聞き、運営に携わる立場から大いに喜んでおりました。
 
その日のお礼状としてお手紙を寄せてくださったのですが、お姉さん同様、綴られた文面の隅々に「月やん、治平ちゃん」への敬慕が溢れていて、読ませていただきながら、Yにはまだお逢いしたこともないのにただただ「懐かしい」という思いが沸き上がってきて、ちょっと不思議な気分・・・
 
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次の機会には四人(四人姉妹とお聞きしました)でと書いてくださったので、その日を楽しみに待たせていただきます・・・
 
ところで、Y・Sさんは「由里子」さん、Y・Mさんは「裕子」さん・・・さて、残るお二人もイニシャルは・・・やっぱり「Y」かな? 
 
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残暑お見舞い・・・

こんにちは、Y館長です。
 
立秋も過ぎました・・・
 
 
秋立つやほろりと落ちし蝉の殻 子規
 
 
ここ野上の記念館でも、庭に蝉の抜け殻を見つけることも稀となりました。
 
それでも、大きな台風が列島を窺い、テレビの予報士は厳重警戒を伝えています・・・・
 
お盆の帰省ラッシュもこれからでしょうが、大きな混乱事故なくそれぞれの夏の思い出を書き加えられればいいですね・・・
 
 
先週の日曜日は、学院のラーニングセンター(図書館)で、その壁面を飾る藤飯治平先生の大作3点を見上げながら、平成28年秋に開催を予定している「藤飯治平回顧展」の打ち合わせをさせていただきました。
 
会場としてお借りする予定の美術館からご担当いただくお二人と、これまでも何かとお世話になっているギャラリーのA社長も参加していただき、おおまかなスケジュールや内容についてご相談をさせていただきました。
 
これから具体的にスケジュールが進行するなかで、藤飯治平ゆかりの方々や、作品を所蔵されている皆さんには、何かとご協力をお願いする場面が出てくると思いますので、その節にはよろしくお願いいたします。
 
 
また、昨日は「宝塚美術協会」の会議のために記念館のアトリエをお使いいただきました。
 
暑い午後でしたが、会長の辻司先生をはじめ総勢11名の会員の先生方がお見えになられました。
 
記念館を知っていただく格好の機会となり、お世話いただいた事務局担当の藤井達矢先生はじめ遠路お越しいただいた先生方に感謝申し上げます。
 
今後ともよろしくご指導ください。
 
 
さて、すでにご案内させていただいおりますが、記念館は8月17日(日曜)まで、夏季休館とさせていただきます。
 
8月18日(月曜)から平常通り開館いたします。
 

 
どうかそれぞれに「よい夏」をお過ごしください。
 
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