野上日記

空は秋の雲、風は秋の匂い

こんにちは、Y館長です。
 
先週は夏季休館とさせていただきましたが、今週からは平常通り運営しております。
 
あちらこちらで「これまでに経験したことがない・・・」というフレーズが繰り返され、おおきな災害、被害が報じられていますが、渦中の皆さんにはこころからお見舞いを申し上げます。
 
今日も猛暑日があちらこちらでと、残暑が続いていますが、見上げる空にたなびく雲には秋の気配が濃く、吹き渡る風にもどことなく秋の匂い・・・
 
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夏季休館とさせていただく直前に、記念館に宛てて一通の書状が届きました。
 
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差出人は東京にお住まいのY・Mさんとおっしゃるご婦人・・・
 
以前ご紹介した串本のY・Sさんの妹さんです。
 
Y・Sさんが記念館を訪ねてくださったその後、Y・Mさんも丹波で開催された娘さんの球技大会の付き添いで関西方面に来られており、スケジュールの合間を縫って訪ねてくださいました。
 
生憎、Yは当日、記念館を休ませて頂いておりお目にかかることはできなかったのですが、案内させていただいたA職員から大変感激してくださったと聞き、運営に携わる立場から大いに喜んでおりました。
 
その日のお礼状としてお手紙を寄せてくださったのですが、お姉さん同様、綴られた文面の隅々に「月やん、治平ちゃん」への敬慕が溢れていて、読ませていただきながら、Yにはまだお逢いしたこともないのにただただ「懐かしい」という思いが沸き上がってきて、ちょっと不思議な気分・・・
 
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次の機会には四人(四人姉妹とお聞きしました)でと書いてくださったので、その日を楽しみに待たせていただきます・・・
 
ところで、Y・Sさんは「由里子」さん、Y・Mさんは「裕子」さん・・・さて、残るお二人もイニシャルは・・・やっぱり「Y」かな? 
 
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残暑お見舞い・・・

こんにちは、Y館長です。
 
立秋も過ぎました・・・
 
 
秋立つやほろりと落ちし蝉の殻 子規
 
 
ここ野上の記念館でも、庭に蝉の抜け殻を見つけることも稀となりました。
 
それでも、大きな台風が列島を窺い、テレビの予報士は厳重警戒を伝えています・・・・
 
お盆の帰省ラッシュもこれからでしょうが、大きな混乱事故なくそれぞれの夏の思い出を書き加えられればいいですね・・・
 
 
先週の日曜日は、学院のラーニングセンター(図書館)で、その壁面を飾る藤飯治平先生の大作3点を見上げながら、平成28年秋に開催を予定している「藤飯治平回顧展」の打ち合わせをさせていただきました。
 
会場としてお借りする予定の美術館からご担当いただくお二人と、これまでも何かとお世話になっているギャラリーのA社長も参加していただき、おおまかなスケジュールや内容についてご相談をさせていただきました。
 
これから具体的にスケジュールが進行するなかで、藤飯治平ゆかりの方々や、作品を所蔵されている皆さんには、何かとご協力をお願いする場面が出てくると思いますので、その節にはよろしくお願いいたします。
 
 
また、昨日は「宝塚美術協会」の会議のために記念館のアトリエをお使いいただきました。
 
暑い午後でしたが、会長の辻司先生をはじめ総勢11名の会員の先生方がお見えになられました。
 
記念館を知っていただく格好の機会となり、お世話いただいた事務局担当の藤井達矢先生はじめ遠路お越しいただいた先生方に感謝申し上げます。
 
今後ともよろしくご指導ください。
 
 
さて、すでにご案内させていただいおりますが、記念館は8月17日(日曜)まで、夏季休館とさせていただきます。
 
8月18日(月曜)から平常通り開館いたします。
 

 
どうかそれぞれに「よい夏」をお過ごしください。
 
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夏の盛に・・・

こんにちは、Y館長です。
 
教育に関わる者にとって、というより次代に責任を負う立場のすべての者にとって座視できない出来事が報じられ、その混沌・凄惨たる闇の向こうに一体何が潜み牙を向いているのか・・・・
 
胸が痛むだけでは済まない「何か」を突きつけられているように思います。
 
それでもここ野上には、変わらぬ真夏の新しい息吹がそこかしこに見つけられます。
 
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昨日、生け垣の蔓に見つけた「あおむし」・・・今年もしっかり登場してくれました。
 
こちらは、その「あおむし」くんの今朝の様子・・・
 
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とにかくその食欲には舌を巻かざるを得ません!
 
一体、何の幼虫かとネットを巡ってみると、どうやらオオスカシバというクチナシを食生とするスズメガの一種であるらしい・・・
 
あおむしの尾に一本の角があるのは蝶々ではなく蛾であることも知りました。
 
成虫は、その名の通り羽が透明な昼行性のちょっと変わった蛾であるらしい・・・
 
 
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同じ庭で今年生まれた新しい命の印、印、印・・・・
 
一匹も庭にはとどまってくれず、何処の木立で鳴いているのかな・・・
 
蝉の一生は儚さの極・・・・
 
やがて死ぬけしきは見えず蝉の声  ―芭蕉―
 
 
そうそう、「人」の意を固有名詞から普通名詞に置き換えてみれば何やら現代(いま)の世相を思わせるこんな歌もありました・・・
 
蝉の声聞けばかなしな夏衣 うすくや人のならむと思へば ―紀友則―
 
 
この「夏」がこれからも永遠に巡り来る「夏」の変わらぬ一景色でありますよう・・・
 
ところで、仁川学院藤飯治平記念館は、「お知らせ」でもご案内のとおり8月10日(日)から8月17日(日)まで、夏季休館日とさせていただきます。
 
 
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仲をとりもつ・・・

こんにちは、Y館長です。
 
梅雨も開けた野上では、いよいよ迎える夏本番の気配がいっそ濃くなり、学院では明日からすべての学校で夏休みに入ります。
 
 

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この本は南紀を代表する民謡「串本節」にまつわる様々な資料を後世に伝えるべく地元の公民館が編纂した、想いあふれる一冊です。
表紙に「祝成人」とあるように串本町では成人式の引出物として配られているらしい・・・・
 
奥付をみても定価の表記がないので、非売品であるらしい・・・
平成元年七月発行、平成十一年七月増刷とある・・・
 
何故、そんな一冊がこの仁川学院藤飯治平記念館に? そう、この日記をご愛読(?)いただいている勘の良い皆さんはもうおわかりですよね!
 
先週、はるばる串本からご来館くださったY・Sさん・・・藤飯治平先生の奥さんである月美さんを「いちばん好き」と慕っておられたことは、いつぞやのブログでご紹介させていただきました。
 
息子さんご夫婦とともに訪ねてくれたY・Sさんは、数十年前、夏休みのたびにちいさな姉妹だけで、串本から列車を乗り継いで訪ねてきたこの想い出の「お家(うち)」が記念館として残っていることをホントに喜んでくださいました。
 
その際にお土産としてくださったのがこれだったのです。
 
そう、勘の良い皆さんは、えっ、それだけ? 何かエピソードがあるんでしょ? とご推察のとおり、もちろん、ただ串本の民謡が紹介されている本だから、というだけではありません・・・
 
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この本には、串本節にまつわる代表的なお土産品も紹介されていて、このページでは「人形」と「のれん」「手ぬぐい」が紹介されています。
 
地元で化粧品店を営む「すずや」さんが手作りをしているのだとか・・・そしてその「すずや」のご主人が月美さんの従姉妹で、「すずや」の娘さんがY・Sさんというわけ。Y・Sさんは一旦は地元を離れたのですが、いまは帰ってこられてそのお店を継いでおられるご様子・・・
 
そしてお話は人形からそのとなりの「のれん」「手ぬぐい」へ・・・
 
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なになに?・・のれん、手ぬぐいは、親戚の画家で兵庫教育大助教授の藤飯治平さん(宝塚市在住)がデザインしたもので、手軽な土産物として観光客に人気がある・・・・
 
Y・Sさんは、その実物も記念館にお持ち下さいました。藤飯治平デザインの串本みやげの定番!
 
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お聞きしたところこの「のれん」はお店に残る最後の一枚なのだとか・・・串本潮岬も観光の様相が変わって、サーフィンやダイビングといった体験を求めて訪れるひとが多く、こういう「みやげもの」は売れなくなりましたと寂しそうに話してくれました・・・
 
Yの若い頃、土産物の定番といえばこけし人形にペナントが真っ先に思い浮かぶのですが、この「のれん」は実用としてののれんではなく、云わばそのペナントの如きもの・・・どこに云ってもご当地キティーちゃんは溢れていますが、ほんとうのその土地のサムシングを伝えてくれるお土産品はもう望むべくもないのでしょうか・・・
 
 
そのとき見ていただいたものにこんなものも・・・
 
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ちいさかったY・Sさんんが、憧れた月美おばさんの麗姿・・・
 
そんな麗しいお嬢さんに一目惚れ(かどうかは聞いてませんが?!)した藤飯治平先生が旅先の阿蘇の宿から送った・・・恋文?
 
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というわけで、Y・Sさん、ありがとうございました。その後はお子さんたちとの水入らずの旅を愉しまれたことと思います。
 
次回は、ぜひご姉妹の皆さんもご一緒にお越しください。こころからお待ちしています。
 
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ファーストアニバーサリー・・・2014夏

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こんにちは、Y館長です。
 
7月8日 仁川学院藤飯治平記念館は開館一周年を迎えさせていただきました。
 
ここはまず型どおりに、この小さな小さなミュージアムを励まし支えてくださった皆さんに、こころから感謝申し上げます。
 
藤飯治平先生と仁川学院のご縁や開館に至る経緯はこれまでもこのブログでご紹介させていただいたとおりですが、なんということのない一年間のようで、それでも日々時々に新たな出会いや思いもかけない展開があったりしつつ、Y、Aともども堂守冥利に尽きる一年であったように思います。
 
いまはこの日を迎えた幸せを噛み締めながら、それでもここはひとつのマイルストーン、つぎの里程標を探す旅を続けなければと感慨を新たにしています・・・
これからの仁川学院藤飯治平記念館にどうかご期待ください。
 
この館長ブログ「野上日記」もなんとかへこたれずに続けてこれたのですが(まぁ、中身のことはこのさい置いといて・・・)、記念すべき!?第一回の話題は記念館庭で見つけた蝉の抜け殻のお話でした。
 
その際に、これから数年はこの蝉たちにとって「野上四丁目の悲劇」(ブラジル・ミネイロンの悲劇には及びもつかないか)ともいうべき光景が繰り返されるのではと書かせていただいたのですが・・・
 
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今年も、庭のくちなしの葉にしがみついた抜け殻と、駐車場の溝にうずくまる抜け殻を見つけました。
 
庭の地面にも既に五、六個の穴がありました。
 
まだ、蝉の鳴き声は聞かれませんが、これからのひと夏、庭から巣立つ蝉たちに大いなる声援を!
 
このように庭もすっかり夏模様、冒頭の写真はフェンス脇のフーセンカズラ、可憐な小さな花を経て、透き通るグリーンのほっぺを大きくふくらませ、風にそよいでいます・・・
 
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アニバーサリーだからと云う訳でもないのですが、以前にも創ったスケッチブックのミニチュア版の新バージョンを制作してみました。
 
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もう一冊はこちら・・・
 
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興味を持っていただければ、ぜひ「二年目の藤飯治平記念館」で手にとってご覧ください!
 
 
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朝がほや一輪深き淵の色 蕪村
 
そうそう、蕪村にはこんな句もありましたね・・・
 
祇園会や真葛ヶ原の風かほる
 
 
来週はもう祇園祭のクライマックス、Yの住む大阪西天満でも天神祭の雰囲気が徐々に高まりつつあります。
 
高校では夏の甲子園県大会も始まりました。仁川学院高等学校は、今日12日が今大会の初戦、対戦相手は明石高、高砂球場で12時30分のプレーボールとか・・・どうかご声援を。
 
 
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蛇のように・・・鳩のように・・・

こんにちは、Y館長です。
 
昨日は、ここ野上でも久方ぶりの梅雨らしい雨が、庭の緑を深くつややかにしてくれました。
 
それでも北九州方面では、そんなやさしい雨ではなく大雨となって難渋するところが多かったのだとか・・・・
 
何事もデジタル風に、1か0か、シロかクロか、オンかオフか、猛暑か冷夏か、日照りか大雨か・・・
 
そんな二極化がますます極まって、古来から紡がれ続けてきた多様な情緒を表現する日本語が死語になる、そんな危惧もあながち大袈裟とは言えなくなっているのかも・・・・
 
と、そんな思いが杞憂に終わればいいのですが。
 
 
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仁川学院の南からの通学路にある大スロープから望むことができるモニュメント・・・
 
創立50周年記念学院施設整備事業に際して、日々、子どもたちを励まし勇気づけるために制作されました。
 
作者は、前回のブログで触れた佐賀在住のアーティスト 塚本猪一郎さん。
 
「マタイによる福音書」で語られる、イエス様が迫害の後、御身のもとから十二人の使徒を福音を説くためイスラエルに遣わされるにあたって授けた説教から、『「わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに羊を送り込むようなものだ。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい。(マタイ10-16)』のたとえをテーマに制作していただきました。
 
塚本先生は、比喩で表されたその聖書の語句の単純さからは伺えない深いイエス様の愛と哀しみを、ユーモラスとも思える塚本流の「愛」で表現してくださいました。
 
ちなみに、この有名な説教が行われた場所は、ガリラヤ湖の北方、ピリポ・カイザリヤの丘陵であったろうと、遠藤周作はその著「イエスの生涯」に書いています。
 
 
実は、このモニュメント、設置したところが、肝腎の大スロープからは、その大きな壁が邪魔をして、通学途中の子どもたち、とくに小学生には見えないことが判明! あちゃ~・・・
 
折角の作品がこれではと、思いついたのが・・・
 
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そう、出来上がった壁(厚さは優に20センチは超えています!)を左右とも切り欠いて、ガラスを嵌め込むという無謀なもの!
 
「ほな、ここ、切ってもらいましょか」と軽く言うYの言葉に、さすが天下のS建設・・・まったくたじろぎもせずに「わかりました」・・・
 
いやぁ、いまとなっては創立50周年記念学院施設整備事業に関わる嬉しいエピソードのひとつとなりました。
 
その塚本先生には、この大きな(全高2メートルを超えています)モニュメント以外にも、小学校の各クラスの入口脇に、それぞれのクラス・マークとも云える作品を配してくださいました。こちらは、また別の機会にご紹介をさせていただきましょう。
 
ギャラリー プチフォルムでの「塚本猪一郎展2014」は7月12日(土)まで開催されています。
 
塚本先生は、同じくギャラリー プチフォルムをホームグラウンドとされていた藤飯治平先生とも、当然ご面識はあったそうで、具象と抽象と立場こそ違え、お互い芸術家として交歓し切磋琢磨する、そんなご関係であったでしょうか・・・
 
 
気がつけばカレンダーも折り返して、はや七月、仁川学院藤飯治平記念館も間もなく一周年を迎えさせていただきます。
 
この一年の歩みを、天国の藤飯治平先生は喜んでくれているのかそれとも呆れはてていることか、なんとも覚束ないことではありますが、二年目に向けて出来ることを着実にやっていきたいと考えています・・・
 
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所縁・・・ゆかり

こんにちは、Y館長です。
 
週の初め、関東方面では雹や大雨がニュースとなっていましたが、ここ野上ではさしたることもなく、梅雨の晴れ間が続いています。
 
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ワールドカップは、日本には残念或いは無念な結果となったようですが、ナショナルチームが個々人の能力の総和として本来のパワーを発揮するというのは難しいものと、サッカーの門外漢であるYにもそう実感される試合だったように思います。
 
 
先日は、神戸のカルチャースクールで藤飯治平先生に絵を習っておられたお二人(Oさん、Sさんとおっしゃる女性です)が誘い合わせて記念館を訪れてくださいました。
 
十年近く、藤飯治平先生が亡くなる直前まで習っておられたそうで、展示作品を熱心にご覧くださいました。
 
すこしばかりお話をさせていただいたのですが、藤飯治平先生は「絵を巧く描きたい」というより、「絵を描きたいという情熱」を持ったひとに熱心に指導されていたとか・・・
 
また、スクールが終わった後はご一緒に食事をすることもあったと伺って、そんな寛いだ場での藤飯治平先生の素顔が窺われるエピソードなどをお聞かせいただく機会を、これはお二人に限らず、藤飯治平先生と所縁(ゆかり)のある皆さんそれぞれに作りたいものと考えています。
 
所縁(ゆかり)と云えば、4月24日付けの館長日記でご紹介した串本のY・Sさんから、七月中旬に記念館を訪ねてくださるとの嬉しいご連絡をいただきました。
 
記念館のファーストアニバーサリーに相応しいお客様、「治平さんと月やん」のことをいっぱい聴かせていただこうといまから心待ちにしています。
 
ほんとうに月日は早いもの、藤飯治平記念館の開館一周年もすぐそこまで・・・
 
思っていたこと思っていることの数分の一を手掛けるのに精一杯ですが、平成28年秋(予定)の回顧展に向けても、躍動する二年目でありたいものです。
 
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ところで、これまでもたびたび当日記に登場していただいている藤飯治平先生所縁のギャラリー プチフォルム のA社長から新しい展覧会のご案内をいただきました。
 
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佐賀を拠点に活躍されているアーティスト塚本猪一郎さんの、プチフォルムでは恒例となった展覧会・・・・
 
実は、塚本猪一郎先生と仁川学院にも大きな出会いと所縁(ゆかり)があるのですが、それは次回にでも・・・
 
その案内状にA社長が一句、書き添えてくれました・・・
 
蛍獲て少年の指碧なり  誓子
 
 
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H神父さま

こんにちは、Y館長です。
 
6月8日の早朝、H神父さまが天国に召されました。
 
H神父さまは、ローマで司祭の叙階(神父さまに任命されること)を受けられたのち’62年に、創立まもない学校法人仁川学院の事務局長として赴任され創設当初の困難な時期を乗り越えて、現在(いま)ある学院の礎を築いてくださいました。
 
また、帰天される其の日まで、東村山市のまりあ幼稚園長としてその使命に尽くされるとともに、私たち学校法人仁川学院の理事としても常に暖かい励ましを与えてくださいました。
 
Yの学校法人仁川学院在任中は、理事会のたびごとにお顔を合わせる機会があったのですが、その堂々とした体躯とともにいつも穏やかで、恰も子どもがはにかむような、あるいはアルカイク・スマイルの如きその表情を、まざまざと思い浮かべることができます。
 
一昨日、東京のカトリック赤羽教会で行われたご葬儀ミサ・告別式にはYも参列させていただき、永遠(とわ)のお別れをさせていただきました。
 
H神父さまをこの仁川学院藤飯治平記念館にお招きする機会はないままとなってしまいましたが、どうかこれからも、仁川学院が神様から与えられた使命を果たせますよう天国から見守っていてください。
 
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H神父さまは、先に書いたようにローマで司祭への叙階を受けられました。藤飯治平先生もローマを初めイタリア各地へ何度も取材で訪れています。
 
そんな旅の途上で描かれたスケッチブックの整理を進めていますが、ようやくその一部を手にとってご覧いただけるようになりました。
 
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といっても、スケッチブックの各葉をファイリングし架台に並べただけのやっつけ仕事ですが、それでも藤飯治平が捉えた異国の風景をリアルにご覧いたけるのではと思っています。
 
H神父さまはコンベンツァル聖フランシスコ修道会ですから聖地アッシジとは深い所縁(ゆかり)がおありですが、多くのスケッチの中から藤飯治平先生も見たアッシジ・・・
 
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今日は6月13日ですが、’92の同じ頃、ベネツィア行の際に描かれたスケッチブック・・・・
 
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※写真掲載上、画面をトリミングしています
 
 
ところで、Yには、H神父さまにまつわる個人的な逸話がありまして・・・・
 
実は、Y、これまでに何度もH神父さまと間違えられたという、なんとも畏れ多い経験が・・・・
 
最初はもう5年も前のことになるでしょうか、仁川学院で教鞭を取っていた旧職員の先生から、「H神父さま!」と声を掛けられた・・・
 
その後は学院や教会付近ですれ違いざまに、丁寧にご挨拶をされること幾度、一度ならず「まぁ、H神父さま、お変りなくお元気で!」と声を掛けていただくことも・・・
 
 
いつの日にかは、H神父さまの「徳」がYにも備わることを願いつつ・・・・また来週!
 
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衣がえと梅雨入り

こんにちは、Y館長です。
 
六月を迎えたばかりですが、ここ数日は「真夏の盛り」も裸足で逃げ出すような猛暑ですね・・・・
 
ここ野上でも、開け放った扉の網戸越しに、むせ返るような新芽の香りが匂ってきます。
 
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学校でも衣がえの季節・・・
 
脱ぐのは重い冬の上着だけではなく、四月から三ヶ月の学校生活を歴てそれぞれに自分自身の内で大きく育った「何か」の、既にいまの身の丈には合わなくなった、そんな旧いこころの衣かも知れません・・・
 
六月は、そんな衣がえと同時に、雨の季節でもあります。
 
昨日もニュースでは、九州地方の梅雨入りを伝えていました。
 
洋の東西を問わず人は皆雨が好き、というより雨の恵みを感じない人はいないということでしょうか・・・古今、雨を主題にした音楽や文芸作品はそのジャンルを限らず枚挙にいとまがありません。
 
それらのなかで最右翼を挙げるとすれば、さしづめ三好達治の「大阿蘇」でしょうか、教科書の大定番でもあるらしいのですが・・・
 
 
達治はこの長くはない詩の中で、「雨は蕭々と降っている」というフレーズを三度繰り返します・・・
 
雨にけぶる草千里で寄り合ってただいっしんに草をはむ馬・・・その静かな背に、「雨は蕭々と降っている」
 
 
達治は別格として、Yが若いころに聴いたり口ずさんだ歌にも、どこか忘れられずに今でもふとした機会に脳裏をよぎるものがあります。
 
もうすっかりお年を召したけれど小椋佳が70年代初めにリリースしたアルバムに収められた一曲「六月の雨」
 

六月の雨には六月の花咲く
花の姿は変わるけれど
変わらぬ心を誓いながら
いくつ春を数えても
いくつ秋を数えても
ふたりでいたい
 
いやぁ、Yのごとき庄司薫の「赤頭巾ちゃん」世代にはなんとも胸キュン・・・
 
そうそう、先年亡くなった大滝詠一には「雨のウエンズディ」というのもあった・・・
 

壊れかけたワーゲンの
ボンネットに腰掛けて
何か少し喋りなよ
静かすぎるから
海が見たいわって言い出したのは君の方さ
降る雨は菫色Tシャツも濡れたまま
 
これにもワーゲンが登場するのですが、赤頭巾ちゃんに登場するのもたしか黄色いワーゲンだった・・・
 
 
と、昔語りは尽きないのですが、記念館ではまもなく開館一周年を迎えます。
それに向けて、残された多くのスケッチブック、ドローイングブック、そして写真の整理に取り掛かりました。
どのような形でご覧いただけるのか、まだまだ茫洋としていますが、楽しみにお待ちください。
 
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来週はも少し、前向き!?はお話ができればと思いつつ・・・(無理かなぁ、歳やからなぁ)
 
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まぁ、せんせ! おひさしぶり・・・

こんにちは、Y館長です。
 
ここ野上まで来館くださる方々は、やはり藤飯治平先生と生前何某かのご交流をお持ちだった方が多い・・・
 
自宅で教えたお弟子さんであったり、教鞭を取った学校の同僚あるいは教え子、個展会場で知り合われた方、親類縁者の方等々・・・
 
今年度に入ってからも、そのような方々をお迎えする機会がありました。
 
藤飯治平先生の園田学院時代に同僚であったM先生の奥様と当時の教え子であったMさんと二度目の来館になるHさん、自宅で絵を習っておられた宝塚市小林のMさん、同じく仁川高台のSさん、ギャラリープチフォルムで出会いを持たれた生瀬高台のDさん・・・
と、ここまで書いていたら、本日も園田学院でご一緒だったH先生が訪ねてくださいました。
 
それぞれに藤飯治平先生や、あるいは月美奥さんのことも含めて、懐かしく興味深いお話を伺うことができ、そのたびに「藤飯治平」がより親しいそして近しい存在に思えてきます。
 
 
来館いただくと、先ずは先生の居宅をリフォームしたサロン(展示室)をご覧いただき、その後、アトリエをご案内しています。
 
サロンとは玄関を挟んで別棟となっているのですが、そのアトリエの扉を開けて中を見ていただいた瞬間、多くのお客様がおっしゃる言葉があります・・・
 
 
「まぁ、せんせ! おひさしぶり」
 
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アトリエの扉を開けた正面には、お別れの会を機に制作されたB0版の大きな写真パネルがイーゼルに飾られていて、まるで先生自身が訪問者を迎えるよう・・・
 
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とくに、このアトリエで習っておられたお弟子さんには、そこに生前の先生が座っている!と思わず感極まる場面もたびたび・・・
 
 
「あなたの藤飯治平」は今日も、五月晴れの清々しい陽光のもとで、懐かしい皆さんをお待ちしています。ぜひ、お出かけの上、思い思いのこころの語り合いを・・・
 
 
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